【個展】インスタレーションを作る日々は結構辛い。
個展の告知
最初に個展の告知をば!下記の日程で個展を行います。
インタレーション回とペインティング回で作品の入れ替えがあり、二会期連続で行います。特にインスタレーションは新しい試みのものばかりなので、ドキドキですがいいものが作れているように思います。
【MasakiHagino/萩野真輝 日本初個展】
Solo show at KenFineArt in Osaka, Japan
„Deconstruction of painting“
-絵画の脱構築-
2024/01/19 – 2024/02/10 (Object/Installation)
2024/02/16 – 2024/03/09 (Painting)
【オープニング】
1/19、2/16の16:00-20:00
(18時以降は裏口からのご入場になりますので、ギャラリーまでご連絡ください)
【場所】
Ken Fine Art
〒541-0044
大阪府大阪市中央区伏見町3-2-12
春海ビル 2F
Tuesday – Friday 12:00 – 18:00
Saturday – 10:00-15:00
Close : Holiday, Sunday and Monday
*During exhibition periods
という感じになっております。在廊のタイミングなどはインスタやTwitterXなどで告知すると思いますので、ご確認の上お越しください。お待ちしております!
本題にもどって
この記事は雑記ということなんだけれど、そもそもこういう何でもないような内容を書き連ねていくようにメンバーシップも始めたんでした。お金を集めたいということではなくって、うっかり変なこと言っちゃったり、言いたいことも自由に言えなくなってきたりしたので、こういう少し閉鎖的な場所で文章を書きたかったんだった。
というのもなんか最近こう、ポジショントークというか価値のありそうなことを説明解説するような文章ばかりを書いてしまっていて、それは別にいいんだけれど、なによりそんなにネタが転がっていないのでなかなか書き続けるのは大変だったりする。
とはいえ、毎日かなりの時間を思考とか情報収集とか、いろんなことが脳内で起こっているわけだから、それを書けばいいだけだったかも、と思い直して更新頻度もあげていければなと思います。
インスタレーションを創る日々
これまで経験は確かにあるんだけれど、やはり絵画がメインでずっと活動してきていて、今回初めてインスタレーション作品のみの展示を行おうとしています。後半は絵画のみの展示になるので、それはやっぱり楽だなと思う。
インスタレーションを作る日々は結構辛い。
いや、本当に結構辛いのだ。
何がつらいかというと、どれだけの時間をかけても、作品が一向に出来上がってこない。時間だけが過ぎている。素材検証とかだけで一日が終わる。数日悩んでやってみても結局振出しに戻る。作品の目に見える進捗がない毎日はつらい。描けばいつか終わるという絵画とは大きな違いだ。
というような、学生の頃の課題を思い出す、そんな感じに近い。
そして課題っていうのは出してくれる相手がいて、講評までもしてくれる人がいるのに対して、これはもうすべて一人なのだ。この方向でいいのかどうかも、何を作るべきなのかの最初の課題部分も全部自分で決めてやる。
絵画はその点結構楽。
楽というとあれだけれど、既に十何年も制作を続けているから、いろんなことがわかっているし、たくさん実験もしているし、やってきた分の蓄積がある。そして作品に向かって毎日描き進めていれば、日々に達成感があったりする。素材の研究もほぼほぼ終わっている
今日はここまでやる。ある程度進みました。完成まであとどれくらい。という進捗があるのは精神安定上いい。
ただ模索中のインスタレーションとなると話は全く別。
ただ考えているだけで一日が終わる。
ただ素材を触っているだけで一日が終わる。
スケッチとかで終わる。
ちょっとデザイナー的な工程に似ている気がするけれど(学部生の頃はデザイン系だった)デザイナーほど表面的なクオリティを求めていないにしろ、絵画は一か月に数枚は出来上がってくるのに対して、やはりインスタレーションを数点作ろうと思うとなかなかにつらい。
インスタレーション作家さんは大変だなぁと実感する。インスタレーションだけで場所を埋めるような展示会をしようと思っていることが無謀だったのかもしれない。でも初めてのことだから仕方のないことだ。
確かにこれまでやったことのあるインスタレーションっていうのは1点ずつだったかも知れない。絵画メインの展示に、1つインスタレーションを。というような感じで。
インスタレーションのアイデア
作品のアイデアは実は結構たまっている。愛犬と散歩してたり、おふろに入っていたりするとふと思いついたりすることもあるので、その都度携帯のメモ帳に書き残している。たまに暗号みたいになっててわけのわかんない時もあるけれど。夢の中で見たアイデアを起きてメモに残してもう一度寝たことが何回かあったんだけれど、その時は誤字もあって箇条書きで、起きた時には何にも覚えてなくて困ったことがあった。
作品の大元のコンセプトというのはいつものままぶらさない。主観性や脳科学、哲学、美学からいろんなところを引用して作っていく。今回はデリダの脱構築というところに入っていったけれど、これまでデリダを読んでこなかったので、またデリダの脱構築を理解するところから始めなければならなかった。そうするとハイデガーを読み直す羽目になったりして、また時間だけが過ぎていくのだ。
もう一個の不確定要素
辛い辛いといったけれど、作品が出来上がってこないということのほかにもう一つ大きな苦悩があったりする。
今作っている作品がいい作品かどうかの
手ごたえがあまりない
ということだ。上でも書いたけれど、これまで何年もやってきた絵画作品というのはやはりそれなりに研究してこともあって、こうあるべきだとか、こうするほうがいいとか、自分の中で、もしくは研究の上に載った試行錯誤と実験の上になりたっているので、ある程度自分の中でこうしてこうするという正解があったりする。
ただ全く新しい作品を、素材から検証して。苦悩の上何とか形になったとして、これっていい作品なのか?ということの判断に自信がない。
いやもちろん自分を信じるほかないんだけれど、やはり絵画がメインでやっていると、ちょっと違うジャンルに踏み込むのは度胸がいる。
そしてこれがまた手ごたえがなかったりすると難しい。
でももちろん結構楽しい
なんだかんだ辛いことを述べてきたけれど、でももちろん新しいことにチャレンジすることはとても楽しい。
インスタレーションというのはかなりコンセプチュアルアートとしてコンセプトに振り切れるメソッドだなと思っていて
現代美術としてやりがいがあるというか、やれることの幅が広い気がします。絵画の歴史はずっとずっとこれまであって、今絵画で現代美術をやろうというのはかなり学術的な、細かい部分を攻めざるを得ない気がしているけれど、インスタレーションはもっと自由度が高い。なのでこういう風にしたらどうか、ああしたらどうか、ということを一日中考えているのは楽しいのだ。
楽しい反面、全然出来上がってこないし、出来ても手ごたえというのがあまりない感じが歯がゆい。
そんなこんなで、悩みながら作品をいじっている毎日。充実しているのかといわれると難しいし、作品ができてこない焦りはずっとあるけれど、自分の作品のコンセプトを前面に押し出した作品を作れるのはやっぱり楽しい。
1月19日から始まるインスタレーションの回では、4種類のインスタレーション(絵画も少しあります)を展示します。
こういうわけのわかんない作品を作っています。
たくさんの方に見て頂ければ幸いです。お待ちしております。
Masaki
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