2018年を振り返って。そして2019年から活動予定のご報告
さて、2018年も残すところ数日となりました。
ドイツはクリスマス休暇真っ最中ですが、1月に卒業試験の個展を控えているため
今年はパーティーなどすべてキャンセルで、独りアトリエで孤独に過ごしています。
2018年を振り返って
ドイツに来てよかったなあと思えることは、作品と制作にちゃんと向き合う環境というか人生を確立できたことかなと思いました。
文字通り毎日制作に結びつく日々をただ黙々と過ごすことは、自分でもつまんない人生かもなあと思うこともあるけれど
その代わりこの8年でいろんなことを学べたなと思います。
毎年年末には、来年の目標とプランを立てるのですが、2018年の目標は
①修士論文と修士制作で最高得点獲得して卒業
②コンクールと助成金の獲得は絶対。名前を2段階くらい上げたい
③新しい作品のスタイルを確立させて2019年に繋げること
の3つを上げていたらしいです。(去年の今頃の日誌より)
成果報告は
①はあと5週間後に卒業になりますので、結果はもう少しあと。修論はもう提出できました。
②は報告してなかったけれど、吉野石膏振興財団より「若手美術家の在外研修に対する助成」を受けております。
コンクールはノミネートが2つありましたが受賞には至りませんでした。
③は今年に入ってから大きく作品が変わりました。論文を書くにあたり研究が進んだために、少し別の新しい作品も制作中です。
という形で、①がどうなるかわかりませんが、最高得点卒業でドイツ留学を終えたいなと思っています。
2019年のプラン
1月末に卒業試験があるのでそれからのプランになりますが、すでに展示の予定がいくつか入っています。2月にart Karlsruheがあってそれからドイツ国内のギャラリーでいくつかの展示予定です。Facebookやオフィシャルサイトの方で随時報告していきます。
さてここからが大きな報告になるのですが、2月大学卒業を持ちまして、約8年過ごしたドイツを離れることになります。実はこの計画は約1年前から進んでいました。そしてオランダ、アムステルダムに拠点を移します。世界的名門校Rijksakademie van beeldende kunstenという美大のレジデンスプログラムに応募するためです。かなりレベルが高く、知名度も高いため世界中から応募があるので、受かるのかどうかは全く未知ですが、次のステップとしてアムステルダムを選びました。
ヨーロッパってすごいですね。日本に居たら絶対に思いつかないような決断だったように思います。今僕はドイツ東部にいるのであれですが、メインギャラリーのあるケルンまでアムステルダムから250km程度しかなく、車で2時間です。ドイツのギャラリーでの活動を維持しながらオランダでも生活していけます。
卒業したらどうしようっかなーと思ってたことがありました。
学生の間にできるだけのことをやって進んで来た結果、卒業しちゃったらなにするんだろう?
が、ずっと頭の中にありました。前回にも話した卒業後のリスクが多くのしかかってくることも一つの理由でした。
おさらいすると、卒業後に失うものは
・アトリエ (現在は大学のアトリエ)
・学生ビザ (フリーランスビザに切り替え)
・学生料金の保険料 (学生料金から外れる)→ KSKに入会して半額負担してもらえる
ということ。ドイツでやってきたことがあるので、ビザや保険料についてはキャリアと顧客証明等で審査は通るでしょうが、結局多くの手間と制限が少しかかります。
そして活動は、結局のところアトリエ代金が増え、保険料と生活費を考慮するとやはり作品を売ることに精力的になる必要があります。結局今までと同じようにギャラリーでの展示と、アートフェア、そしてコンクールの出品を続けて行く生活をあてもなく続けて行くんだろうなと思いました。
もちろんこのことは概ねアーティストとしての本業の部分でもあるとは思うので、それが嫌になったわけではありませんが、毎年毎年繰り返しになっているような気がしてきました。たしかにどのレベルに行ったとしても、作品をよくさせるために研究と実験を重ね、展示を行っていくことは必然で、それがアーティストの人生だと思います。ですが毎年同じ展示会場に出品して、毎年同じコンクールに出して。それはいくばくかの惰性を生むのかなと思いました。
私は「ドイツに来た」というたったこのことだけとっても、とても多くのことを学んだと思います。この数年で学んだ量で言えば誰にも負けないようにも思います。それくらい下のラインからスタートして、ここ4年ほどで多くのステップを上がったように思います。それができた大きな理由はいろんな状況でリスクを犯してもいい環境の中だったからです。
それが完全に独り立ちをして進んでいくと、リスク回避という選択肢を取りながら、毎年繰り返しをしていくのが、なんとなくつまらないだろうなと思ってしまいました。
だからこそ、私は別の環境でまた何かを学べる機会を自分に与えようと思いました。最初はドイツ国内の別の場所でもいいと思って、ケルンでアトリエ探しまでしたんですが。結局ドイツ国内でやることは常に同じだったら、もっと視野を広げてみようと思いました。だって別にドイツが、またはもしくはベルリンが世界一のレベルを誇っているわけではないからです。そして一番の理想を言えば、保険も兼ねて、今まで築いて来たドイツでのキャリアや経験などを捨てたくはなかったんです。上で挙げたことは、もしかしたら多くの日本人がやりたいこと(ドイツでアーティスト活動をするということ)かも知れませんが、今では私の中では惰性の中でこなせるようなことになっていることに気づきました。助けてくれる人(ギャラリーやエージェンシー)がいて、他のアーティストから情報は常に回って来て、顧客もいて作品を定期的に購入してくれて、コンクールなどの情報を常に入手できる。つまりこれらのことをなんなくこなせるのであれば、別にドイツ国内に居なくてもいっか。っという答えになりました。今後もちろんドイツでは活動していきますが、ギャラリーへは作品を最悪送ればいいし、連絡は電話でもメールでも十分なので。
そんな中、目に入って来たのが、アムステルダムという存在でした。アートについても世界的に有名な街で、Rijksakademieの名前は関係者であれば世界中誰でも知っているレベルです。もちろんそれに受かるかどうかはおいといて、オランダという新しい場所で、またもう一度8年前から手に入れることができた多くのことを、もう一度経験できるのかなと思いました。それくらい国を変えればアートスタイルも変わるし、文化が変われば学べることも違うはずです。そしてアムステルダムからケルンまでたった2時間。なんなら今僕が住んでる街からケルンまでの方が遠いんです笑
学生というベールを脱いだあと、上に挙げたリスクをどこにいたって背負うことになります。8年ドイツにいたからといっても結局は大したアドバンテージにはなりません。そんなこんなで、どうせリスクを犯すのであれば、
また新しくより多く学べる場所で、より多くの新しい可能性がある場所で。
さらに言えばドイツでこれまで築き上げて来たことを失うことないまま、できる場所で。
2019年からスタートしたいと思っています。
このブログを始めたきっかけは、アムステルダム移住を決めたからです。
なのでドイツでのこれまでの活動をまとめるためにまずはスタートしました。
そしてアドレスmskham.comというのは MaSaKi Haginoから、そしてam がAMsterdamから取ったものでしたー。
移住まであと6週間。個展準備に追われてますが、最後まで自分らしく、
ドイツでの活動の集大成を見せられるように頑張ります。
そして!メリークリスマス&ハッピーニューイヤー!
本年もブログを通して、皆様にお世話になりました。
来年からはアムステルダムから、いろんな思考と情報を綴っていけたらなと思っています。
何卒よろしくお願いいたします。
では、Masakiでした!良いお年を!
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