アーティストにおいてのプロの定義part1
前回2つの記事で、アーティストとは一体どういう人たちを指すのかということについて考えてきました。
今回はそんなアーティストのプロフェッショナルについて。
プロとアマチュアの差はどこにあるのか
前回の記事の最後にアーティスト中にも様々な人たちがいるということについて触れました。Hobby-artsit と呼ばれてしまう、アマチュアや、趣味の延長と捉えられてしまう人も中にはいます。どこにその差が生まれるのでしょうか。
話を進めるに当たってあらかじめ、僕の考えを述べておくと、アーティストに置けるプロとは「真摯に制作、研究を行い、生活をアートに繋がることにすべてを捧げられているかどうか」ということがキーポイントになると思っています。
お金を稼げる人がプロなのか
プロかどうかの一般的な指標のひとつに、「それで生計を立てているかどうか」が挙げられると思います。制作、活動に全ての時間を当て、自分の作品の売買によって収益を得て生活をしているということです。
また逆の場合は、本業または副業としての職業が別にあり、そちらの給料/収益があった上で、残りの時間で制作、活動を行なっているということになるかなと思います。
たしかに、自分の制作&活動を通してもたらされる収益のみで生活ができている人は、プロと呼ばれるにふさわしいかもしれません。ですがそれが必要最低条件かと言われれば、必ずしもそうではないように思います。
我々制作を行うクリエイターという人々は、総じてそれをビジネスに繋げることが苦手な人たちが多いと思います。もともとのポテンシャルとして、そういう人がアートの方向に進む傾向にもあるとは思いますし、実際問題アカデミックな分野、そして社会的なことから離れがちになるので、作品を持ってビジネス社会へ飛び込むことが難しいのもひとつです。だからこそ、ギャラリストやアシスタントが存在しているわけです。
特に日本では、作品の売買の場が少なく、一般家庭で作家の作品を購入し飾るという文化的側面を含む土壌がまだないため、欧米と比較すると活動の収益のみで生計を立てていけるアーティストは少ないかもしれません。
変な言い方になりますが、アーティストというのは、こと生計を立てるということにおいて「お金持ち」を相手にする職業です。衣食住から離れた生活に必要ではないもの(=美術作品)にお金を出せる人は、もちろんですが資金的に余裕がある人であることは間違いありません。
こんなアーティストがいます。
もともと別ジャンルで富豪層を相手に活躍していた人がいました。(またはビジネスでお金持ちとのパイプがある人ということです)その方は、これまでのキャリアを捨て、作家活動を始めました。趣味の延長で作られた作品は、もちろん素人丸わかりなのですが、なにせこの方はこれまでのキャリアとコネクションがあります。「これまでお世話になったから」という言葉付きで、その人の作品はひとつ500万を超える値段で売買されます。ギャラリー契約などは必要なく自ら場所を押さえ、知人を呼び、一つの個展で数千万円を稼ぎます。
というストーリーを聞いた場合、この方は「作品売買の収益で生計を立てている」からプロのアーティストなのでしょうか?
または生涯たった数枚しか作品が売れず、家族や周りからの支援で細々と生活を続け、人生の後半その全てを制作に捧げたゴッホはアーティストではなかったのでしょうか?
毎度話が脱線しつつまとまっていませんが、次に続きます!
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