アーティストとはどんな人? part2
前回の記事ではアートを作る人がアーティストと呼ばれると仮定した場合、アートってじゃあなんなんだろうかということを少し考えました。
他分野の話も含んでいたので、あまり誤解を生まない様に話を進めなければなりませんね。
前回の話を引っ張ってくると、
外見ばかりを追った作品は、斬新でかつ見るものを魅了するかも知れませんが、それをアートと呼ぶのは早計ではないかということでした。それはデザインでだって、工芸でだって、見る人を魅了することができるからです。例えばそれが問題解決やプロダクト商品としての付加価値がつけば、デザイン(またはデザイン製品)と呼ばれるかも知れませんし、文化や伝統を担っていれば伝統工芸品と呼ばれるかも知れません。
こういうことを考える様になった大きな理由の一つに、僕が世界中のアートフェアに出展を続けていることが挙げられます。実際にドイツ国内の中小サイズから世界レベルのアートフェアにまでギャラリーを通して出品をして来ましたが、世界レベルのアートフェアにでさえ、アートと呼べないんじゃないかというものも多く出品されているからです。特に世界レベルのアートフェアは、ギャラリーのみしか出展が許されず(アーティスト個人では応募ができないということです)また4日ほどしかない期間に出展費として130万円を超える金額を払う、そんなレベルのフェアに出展するギャラリーだって、堂々と不思議な作品を展示していることがあります。もちろん上のレベルにいけば行くほどその数は減るのですが…
アートと家具の境目
ギャラリーやアートフェアでの展示というのは、少なからずビジネスが絡んでいます。そして作品の販売目的が主であり、購入者には様々なタイプがいます。家に飾る人、オフィス、ビルのエントランスや、美術館、ギャラリー関係者など作品を買うというだけでも様々な用途があります。
美術館やギャラリー、そしてコレクターなどといった、美術作品を美術作品のまま手に入れ、その価値を保つ人。その一方で、美術作品を家に飾り、家具の一部としてその価値を変換する人。
家に飾るからといって、美術作品の価値が下がるのかといえばもちろんそういうわけではありませんが、少し価値が変化する様に感じます。
それは購入の際に、家の壁の大きさや、家具との相性、部屋の雰囲気にも左右されることを考えると、美術作品の価値をそのまま100%気に入って選んだわけではなく、自分の部屋に合う作品を選んだことになります。
もう少し掘り下げると、こう言った個人購入者を意識した場合、「作家側になんらかの影響を与えることになるのか」ということです。
※購入しやすい大きさがいいんじゃないか。テーマは部屋に飾りやすいものがいいんじゃないか(セクシュアルなものやネガティブなモチーフなどを避けるべきか)暗い色よりも、もっと明るい配色を選ぶべきだろうか。
そうした結果作品にアートとしての価値が欠乏しているように見える、そんな作品が出品されているように思うわけです。「おそらく売れるんだろうなあの絵」と思うと同時に、「中身がない」と思うそんな作品もとても多く見かけます。
こういった実際のケースでも、※で書いたことというのはやはり外見の話になっています。 作品について教えてくださいと聞くと、どうやって作ったかの話や素材の話なんかをまず先に話始める作家が多いのは、少し見ていてもやもやしてしまうのが本音です。
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